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研究室より |
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臼谷 健一
「基礎演習」は後の演習の準備段階として位置づけられる科目ですが(1部のみ開設)、臼谷ゼミでは福澤一吉『議論のレッスン』(2002、NHK生活人新書)を用いながら、毎回テーマに沿って議論を行い、議論スキルを磨く練習をしています。
『議論のレッスン』(2002、NHK生活人新書)
http://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=0130&webCode=00880252002我々が目にする(耳にする)議論にはおよそ議論とは呼べないようなものも多く、例えばテレビの討論番組を見ていても、まったく議論がかみ合っていなかったり、声を張り上げてただお互いの主張を繰り返すだけであったり、相手の揚げ足を取ることに終始するといった場面は多くみられます(「見せ物」としてはそのほうが面白いのですが)。
先に挙げた本には、我々が議論をする際に、より建設的な議論を行うためのルール(議論には主張だけでなくそれを支える根拠の提示が必要であること、議論中で扱う重要な概念については共通の認識が必要であることなど。これらは当然のことでありながら忘れられやすいことでもあります)がわかりやすく書かれています(余談ですがこの本では「議論スキルのない人」の例として政治家、ジャーナリストとともに大学教員が挙げられているのは耳の痛いところです)。
演習の時間には、本を読むだけではつまらないので、毎回あるテーマについて議論していますが、たとえば最初のテーマとして選んだ「男女間の友情は成立するか」といったことひとつとっても議論を進めるうちに「女性と男性では意見が異なるのではないか」(臼谷ゼミは教員を除き全員女性で構成されています)、「そもそも何をもって“友情”というのか」など重要な論点が(多少こちらで議論をリードすることはあるにせよ)自発的に次々と出てくるあたりは手前みそながらゼミ生の飲み込みの早さを感じます。
議論スキルとは何も議論を行うためだけのものではなく、すべての論理表現に不可欠なものであり、ゼミ生には今後求められるであろうレポートや卒業論文の執筆の際には、基礎演習で学んだことをぜひ活かしてもらいたいと考えています。
最後に、ゼミでは活発な議論のため(ひょっとすると基礎演習が“木曜5限”というタフな時間にあるため?)、ゼミ生にとって身近なテーマを議題に選んで(ときには選んでもらって)いますが、蛇足ながらこれまでのテーマを列挙しておきます。
こうして並べてみるとなかなか楽しそうです。
- 男女間の友情は成立するのか
- 追いかける恋愛と追いかけられる恋愛はどちらが幸せか
- 付き合う人と結婚する人は別か(こちらは朝日先生のアイディアを拝借しました)
- 「愛があれば年の差なんて」は本当か
- 女性どうしの親友は存在するのか
(文責:臼谷 2007/06/15)
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