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「応用文書処理」という科目

岡村 俊彦

 私が担当している授業に「応用文書処理」というパソコン実習科目があります。この科目は2年生向け(2部は2年生以上の中上級者向け)の前期科目で,1年生のパソコン実習(文書作成,アプリケーション1,アプリケーション2)の復習なのですが,複数の意図をもった課題を設定してあります。課題はワープロを中心とした「私の履歴書」,インターネットと表計算を中心とした「PCとブロードバンド導入計画書」,ホームページ作成の「大学紹介ウェブページ」の3つです。

 私の履歴書

 この課題はワープロソフト(MS Word)で自己紹介文を作成するものですが,次のような条件があります。

 その他は,基本的に自由です。段組設定などワープロソフトの機能を復習するのはもちろん,第2軸を使った複数データのグラフ作成,デジカメの利用,写真データの加工,専用用紙へ印刷設定など,ワープロ以外のソフトも使いこなさなければなりません。さらにレイアウト,色使いなどはその人のセンスが問われます。センスがない(と自覚している)人には,自分が見て"イケてる"と思うような雑誌や広告などを参考(マネ?インスパイヤ?)にするよう教えています。個人情報が含まれているので,ウェブで公開はできませんが,皆さんなかなか趣向をこらした作品を作っています。

  この課題には「自分を見直してもらう」という狙いもあります。4月から5月にかけてやっているのですが,この時期は就職活動の立ち上がりの時期でもあります。これまでの自分と現在の自分を自分なりのフォーマットで見直してみることで,就職活動へのヒント(職種選択,履歴書作成など)に役だってほしい,というのが私の隠れた(別に隠していませんが)狙いなのです。

  提出された課題は,その学生の雰囲気を結構反映している(真面目な学生はカチッとした出来,チャラい学生はハデ目な出来)というのがおもしろく,また,学生に対する新たな発見も多くあります。

 PCとブロードバンド導入計画書

 この課題は事務実務を想定しており,インターネットの検索と表計算ソフト(関数など)を主に使います。会社にブロードバンドとPC環境を導入するにあたって,費用をインターネットで検索し,台数に応じた総費用を自動計算するワークシートを作成します。インターネットに出ている機器仕様をPDFファイルにまとめ,さらに,内容,費用,導入効果がわかるプレゼンテーション資料(PowerPoint)を作成します。最後はワークシート,PDFファイル,プレゼンテーション資料を1つの圧縮ファイルにして,社内文書としてメールで送る(上司にIT導入の提案をする),というものです。

  本当は,個人ごとにプレゼンテーション(口頭説明)までさせたかったのですが,時間の関係でできませんでした。それでも,「データに裏付けられた説明で相手を説得する」という社会人にとって重要なスキルの学習にはなるはず,と密かに思っています。この課題を完璧にこなせれば,一般の会社でも「ワープロだけじゃなく, けっこうパソコンに詳しい事務員」の地位は確保できるでしょう。

作成したワークシート例(エクセルのファイル)
pcintora.xls

 大学紹介ウェブページ

 これは,「大学に関することならテーマは自由」のホームページ作成です。初中級者向けのホームページ作成ソフトを使えば,ホームページは簡単に見栄えのいいものが作れますが, この授業では中上級者が使うホームページ作成ソフト(Deramweaver)を使います。テンプレートを使わずに, デザインも自分ですべて作っていくため, 効率は悪いのですが, ソース, ファイル名, ファイルサイズにも注意し, ウェブサーバの概念も身についていくはずです。作成したページはウェブに公開することを前提としているので, 著作権, 個人情報, 機種依存文字といったネット利用の規則, マナーの学習にもなっています。手間をかけずに中身を充実させる方法として, フリーのネットサービス(BBSやカウンターなども紹介し, 実際に使っている学生もいます。

  学生が作成したページは期間限定で公開をおこなっています。公開に際して,学生の顔がはっきり分かる画像は私が修正(ぼかす,解像度を落とすなど)してあります。大学ウェブサイトの画像の著作権は大学に帰属しますが,今回は使用することを許可しました。授業時間の制約上,あまり詳しい内容にはなっていませんが,学生の目から見た大学の姿が少しは見えているかもしれません。

2007年度 応用文書処理 学生作成サイト一覧(公開期間限定)
http://202.231.54.198/

 この授業の狙い

 この授業は複数のソフトを使用するわりに,教員の説明はあまりありません。授業時間でいえば,説明が30%,操作(実習)が70%というところでしょうか?課題提出の日などは,説明を全くしない場合もあります。もちろん,操作している時に不明なところがあれば,教員と教務補助員が対応しますが,基本は自分でソフトの機能や操作を見つけていくことにあります。「見たこともないソフトでも,使用法のコツをつかむ」「知らない操作でも,ヘルプやインターネット検索で操作方法を探す」といったのが,この授業の大きな狙いなのです。

  同時に,自分自身,自分の技能(何ができて,何ができないか),自分の所属している大学を改めて見直してもらうことも,この授業のもう一つの狙いです。

(文責:岡村 2007/07/31)

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